13
ホテルを出た俺たちは。
今度は、川沿いの道を海とは反対の方へと歩く。
俺たちは、手をつないで歩いた。
お互いに、あまり言葉も交わさずに。
これで、本当に終わりなのだ。
そのことは、ふたりとも良く分かっていた。
紙屋町のバスセンターで、俺たちは別れた。
「じゃあ、元気で……」
小さく手を振るエミの姿が、小さく見えた。
そして。
俺とエミは、終わった。
それが、1984年のクリスマスの話だ。
恭子は、同じ軽音楽部のひとつ下の後輩だった。
恭子とは、なぜか気が合った。
決して、俺の好みのタイプではない。
しかし。
一緒にいると、なぜか楽しかった。
エミが、東京を離れたあと。
俺のそばには、恭子がつきまとった。
別にイヤではなかったが、正直どうでも良かった。
エミがいなくなっても、俺には美佐がいる。
その事実には、変わりがないのだ。
ある夜のことだ。
その夜に限って、俺の部屋で。
俺と恭子の、ふたりきりになった。
「ねぇ、先輩……。あたしのこと抱きたくない?」
酔っ払った恭子は突然そう言って、いたずらっぽく笑った。
「……何言ってんだよ。やめとくよ」
そう言う俺に、恭子はこう言った。
「意気地なし!たかがセックスだよ、先輩……」