エミは、じっと俺の顔を見つめていた。


俺は、いたたまれなくなって、視線を外す。



しかし。


エミは、いったい何を考えているのだろうか?



自分から、広島に帰ったエミだ。


それならば。


俺に逢うことだって。


こんな態度を取ることだって。


俺には、その理由が分からなかった。



「ねぇ?ひろ。好きなひと出来た?」


エミは、いたずらっぽくそんなことを言う。



「出来ないよ、そんなの。誰でも良い訳ないじゃん……」


俺は少しムッとしながら、エミにそう言った。



そのとき、エミは。


微笑みながら。


涙を一粒こぼした。



「なんか、ね。ひろと離れても、あたし変われないの」と、エミが口を開く。


つまりは、こういうことだ。


「あたし、ひろを忘れようと思った。でも、まだダメみたい」


なるほど。


それは、そうだ。



だって。


俺だって、同じだからな……。



心の中だけで、そう言った俺は。


エミのキレイな顔を、じっと見る。


お互い、嫌いになって離れたわけじゃない。


だからこそ。


始末が悪いのだ。



「……忘れなきゃ、ダメだよ、ね?」


俺の目を、じっとエミが見つめる。



そのとき、俺は。


そんなエミを、強烈に抱きたくなっていた。