そのとき。


「…久しぶりっ!元気だった?」


そう言いながら、エミが。


後ろから、声をかけてきた。



そんな満面の笑みで現れると、ちょっと複雑だよな……。


なんて。


シャレのようなことを、考えながら。


俺は、エミの目をじっと見つめる。



エミが嫌いになった訳ではない。


それは、きっとエミも同じだと思う。


俺のことは、憎いかもしれない。


でも。


お互い、嫌いになって別れた訳ではないのだ。


いや、逆に。


好きだからこそ、離れたのだと思う。



そんなエミの、こんな笑顔が。


俺には、複雑だった。



俺とエミは、本通りを並木通りのほうに向けて歩く。



そして、昔のように。


エミは、自然に俺の肘に腕を絡ませていた。



エミ……。



俺は、思った。


エミと、ちゃんと終わらなければ……。


そうしなければ。


エミが離れて行った、意味がない。



俺とエミは、ひとまず並木通りにある喫茶店に落ちついた。


この店には、思い出がある。


高校のとき、よくバンドのメンバーでミーティングに使った。


タケシや下村と、いろんな話をした。


そして。


ある時期、そこにはエミもいたのだ。



「……懐かしいよね、ここ……」


そう言いながら。


エミが微笑んだ。