6
それから、1時間45分後。
俺は、紙屋町そごうの前にいた。
年末の、広島の街は。
いかにも年末らしく、せわしない雰囲気が漂っていた。
寒い、な……。
俺は、左手に巻いたシチズンアナログクォーツの腕時計を見る。
針は、午後5時31分を指していた。
ただし。
俺はいつも、時計の針を5分進めているが。
夏が終わるころ。
突然エミが、俺にこう言った。
「……あたし、大学辞める。広島に帰ることにしたの……」
やっぱり……。
俺は、なんとなくそんな気はしていた。
エミは、自分の進む方向に悩んでいた。
エミは、グラフィックデザインの勉強をしたいと言っていた。
しかし。
その道に進むことが、果たして正しいのか?
エミは、そんなことを悩んでいるようだった。
それに。
やはり、俺と一緒にいることが。
エミには、辛かったんだと思う。
美佐がいた俺は、最初エミの気持ちを拒絶した。
しかし。
俺には美佐がいる、という事実を知っても。
それでも、エミは。
俺の愛を、欲しがったのだ。
エミを、受け入れてしまった俺は。
結局、エミを傷つけ続けることになってしまったんだ……。
なかなか来ない、エミを待ちながら。
俺は、自分の罪を感じていた。