それから、1時間45分後。


俺は、紙屋町そごうの前にいた。



年末の、広島の街は。


いかにも年末らしく、せわしない雰囲気が漂っていた。



寒い、な……。



俺は、左手に巻いたシチズンアナログクォーツの腕時計を見る。


針は、午後5時31分を指していた。


ただし。


俺はいつも、時計の針を5分進めているが。



夏が終わるころ。


突然エミが、俺にこう言った。


「……あたし、大学辞める。広島に帰ることにしたの……」



やっぱり……。


俺は、なんとなくそんな気はしていた。


エミは、自分の進む方向に悩んでいた。


エミは、グラフィックデザインの勉強をしたいと言っていた。


しかし。


その道に進むことが、果たして正しいのか?


エミは、そんなことを悩んでいるようだった。



それに。


やはり、俺と一緒にいることが。


エミには、辛かったんだと思う。



美佐がいた俺は、最初エミの気持ちを拒絶した。


しかし。


俺には美佐がいる、という事実を知っても。


それでも、エミは。


俺の愛を、欲しがったのだ。



エミを、受け入れてしまった俺は。


結局、エミを傷つけ続けることになってしまったんだ……。



なかなか来ない、エミを待ちながら。


俺は、自分の罪を感じていた。