50 『ありがとう。ずっと、逢いたかった』



会社に向かう途中で。


突然、ケータイのバイブがブルブル言い始めた。


きっちり、三回の振動。


メール、だな……。



それは、君からのメールだった。



sub : 今日なら



早く帰れそうだよ。


あんまりお金ないけど




俺は、電車の中で。


きっと、ニヤケていたに違いない。



このところ、予定が合わなかったり。


俺が体調を崩していたり。


逢うチャンスを、俺のせいで逃していたのに。



君は、また。


こうやってメールをくれる。



そのことが、俺には。


とても嬉しかったんだ。



俺だって、今日あまりお金持ってないけど……。


まぁ、軽く行くなら大丈夫かな?


なんて。



なかなか逢えない君だから。


ホントは気合い入れたかったんだけど、ね。



でも。


相変わらず、毎日忙しい君だから。


俺は、今日こそ君に逢おうと思ったんだ。



今日は、19時から目黒で打合せが入っていた。


たぶん、小一時間くらいで終わるかな?


だとしたら、新宿に20時半には行けるかな……。



俺は、君にメールをする。


南口で20時半に待ってるよ、って。



打合せが、予想よりも早く終わった俺は。


20時過ぎに、新宿に着いていた。



ルミネや南口の店を、ロケハンしたあと。


俺は、京王線の改札口の前で君を待つ。



約束した時間を、ちょうど5分過ぎた頃。


君が微笑みながら、現れた。



一年ぶりに逢えた君は、やっぱりとても美しくて。


俺は一瞬、君に見とれてしまった。



そして、俺は。


心のなかで、この一年ずっと思っていた言葉を。


いつの間にか、呟いていたんだ。




『ありがとう。ずっと、逢いたかった』




『猫の爪の色~恋愛小節2006』
           Copyright by 出雲 裕雪




『猫の爪の色~恋愛小節2006』は、いかがだったでしょうか?


明日からは『恋愛小節1987』を日々連載します。


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