49 『……そっか。じゃあ、またね……』
ある休日の夜。
あたしは、独り暮らしのお部屋で。
独り、ゆっくりと過ごしていた。
あっ、お湯でも沸かそうかな……。
あたしはキッチンに立って、ケトルをガスの火にかけた。
リビングに戻った、そのとき。
突然、ケータイに電話がかかってきた。
あっ。
あなたから、だ。
「昨日は、ほんとにゴメンね!せっかく、久しぶりに逢えると思ったのに。行けなくて、ほんとに残念だったよ……」
そんな風に謝るあなたに。
あたしは、ううんって答えた。
だって。
そんなの、大したことじゃないもん。
それからの、約5分間。
あたしたちは、久しぶりに。
ゆっくりと、楽しくお話をしていた。
キッチンから、シュンシュンと音が聞こえる。
あっ!
お湯が沸いちゃった!
火を止めに行かなきゃ。
吹きこぼれちゃう!
「あっ、ゴメン!お湯沸いちゃった!」
ちょっと待ってて!
すぐに戻るから!
なのに。
「……そっか。じゃあ、またね……」
そう言って、電話は切られたの。
タイミングがズレちゃった、な。
「ちょっと待ってて」
あたしは、そう言おうと思っていたのに……。
やっぱり、あの頃とは。
決定的に、違うんだね……。
あたしは、そんな風に呟きながら。
ガスを止めに、キッチンに立った。
『……そっか。じゃあ、またね……』
了