42 『接近 』
その日、突然時間が出来た俺は。
麻布十番の、いつものカフェに顔を出した。
あれっ?
彼女だ……。
カフェの席には、彼女がいた。
俺を緊張させる、数少ない女。
それが、彼女だ。
「やぁ!元気?」
俺は、動揺を隠して彼女に声をかける。
人気者の、彼女は。
いつも、周りに誰かがいて。
俺は今まで、彼女とちゃんと話をしたことがなかったんだ。
俺は、ドキドキしながら彼女の隣に座った。
「偶然だね。先週以来、だっけ?」
そんな感じで。
俺は、その日。
初めて彼女と、リラックスして。
ちゃんと、話をすることが出来た。
「じゃあ、さ。一緒に写真撮ろうよ!……初めてじゃない?一緒に写真撮るのって」
そして俺は、彼女と2ショットの写真を撮った。
少し緊張した顔をした、俺の写真。
でも。
まず、一歩。
俺と彼女は、近づけた。
そんな、気がした俺は。
とても、嬉しかったんだ。
そして、俺は。
いつもよりも、ちゃんと。
彼女の顔を、じっと見つめていた。
『接近』
了