40 『もう、ダメかもしれない!』
最悪の体調なのに。
そりゃ、会社休めないよね。
だって、大人だもん……。
俺は、ブツブツと独り言を言いながら。
Yシャツにアイロンをかける。
はぁ……。
しんどいなぁ……。
イテテ!
また腹が痛くなってきたぞ!
ずっとこんな調子だもんな。
口内炎もずっと治らないし……。
もうダメかもなぁ……俺。
良く考えてみれば、本厄だし。
確かに、けっこう厄年に年上の友達死んだよな……。
もしかして、俺も……?
まぁ、それならそれでもいいんだけど、さ。
「またバカみたいに、弱音吐いてるんじゃないでしょうね!」
げっ!
なんで分かるんだよ!
「バカなことばかり言ってないで!早く会社行きなさいよ!」
あー怖い!
いつの間に、こんな風になったのやら、コイツは!
「だって、ひとりの体じゃないんだよ……パパ」
そうだよ、な……。
「大丈夫だよ!弱音を吐きたかっただけだよ」と、俺は独り笑った。
まだまだ、死ぬ訳にはいかない。
だって、そばにいなくたって。
あの娘が、いる限りは。
俺は、独りぼっちの部屋で。
アイロンをかけながら。
遠い昔に、遠くに行ってしまった娘と。
こうやって、心の中で話をする。
いつの日か、俺に。
きっと逢いに来るんだ、って信じながら。
だから、まだ死ねないよな……。
俺は。
ホントは、姿も声も想像出来ない娘の。
姿と声を想像しながら。
独り、ニッコリと笑おうとした。
『もう、ダメかもしれない!』
了