39 『まぶたに浮かぶ面影』
目を閉じて。
まぶたの裏に、いったい誰が浮かぶ?
一番最初に浮かんだ相手が。
一番大事なひとだって。
いったい誰が、そんなこと決めたんだ?
目を閉じると。
なぜだか、君の顔が浮かんだ。
いや、そんなはずはない。
だって、俺は。
君のことが、憎くて仕方がないのに。
決して、俺のものにはならない君。
だからこそ。
俺は、あのとき君に執着したのかもしれない。
でも。
やはり、俺は。
君のことが、どうしても忘れられないんだ。
君の、あのしなやかなカラダを想うだけで。
俺は、今でも失った君の大きさを痛感してしまう。
ザワザワと、心が動くのだ。
二度と君を抱けないと思えばこそ。
二度と君に逢わないことを選択した俺なのに。
目を閉じると。
まだ君の顔が浮かぶ。
俺は。
そばにいる、一番大切なはずの。
今の彼女に、笑いかけながら。
もう一度目を閉じてみた。
きっと、そのうち消えてなくなるさ。
俺は、そんな風に。
自分に言い聞かせた。
『まぶたに浮かぶ面影』
了