35 『夢は、もう一度』



どうしてか、って?


だって。


心残り、と言えば。


最後に、彼女を抱けなかったことだけだから。



終わりなんて。



女は、醒めて。


男は、引きずる。



これが最後だから、なんて。


男が思っても。



そりゃ、女は許さないだろ?



手に入れば、安心して。


いつでも大丈夫、と思えば。


やる気も失せる。


男なんて、そんなものだ。



彼女の良さを、知ってしまった俺は。


飽きる前に、逃げられて。



だから、たぶん。


一生、覚めない夢を。


見続けることに、なってしまったんだ。



目の前に、彼女がいる限り。


いやいや。


きっと、離れてみたって。


それは。


さほど、変わらないことかも知れないけど。



俺は、苦しいんだよ。



それでも。


離れたほうが、きっと。


まだ、マシだと思う。



だから、俺は。


彼女に、冷たくしてみた。


つまりは。


ただ、それだけのこと、さ。




『夢は、もう一度』