6 『秘密』
ぼくには、秘密がある。
そして。
それは、決して知られてはならない。
ぼくは、そのとき気づいたんだ。
やっぱり、君のことが大好きだということに。
君と見る映画は、いつも楽しい。
映画を見ながら、ぼくは遠慮がちに君の手に触れる。
そして。
遠慮がちに、手を繋ぐ。
映画を見終わったぼくたちは、手を繋いで歩いた。
遅めの夕食は、鉄板焼きにした。
その店で。
ぼくは、君との微妙な距離感を楽しんでいた。
きっと、これでいいんだ。
以前のように、君にストレートな愛情を向けるのは、もうやめておこうと思う。
本当は、君が欲しい。
でも……。
ぼくは、また君を失うのが何よりも怖かった。
だから。
ぼくは、君への本当の気持ちを隠すことに決めた。
その気持ちを、ぼくはきっと、ずっと隠していくのだろう。
ぼくには、秘密がある。
そして。
それは、決して知られてはならない。
絶対に、彼女には。
『秘密』
了