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そんな麻里恵の夢を、壊して良い訳がない。
俺は。
麻里恵を愛するがゆえに、葛藤していた。
そして、いま。
はっきりと分かったことがふたつある。
それは。
俺の、麻里恵への間違いない愛と。
麻里恵の、俺への愛だ。
部屋の壁に掛けられた、時計を見た。
時計の針は、午後11時を回っていた。
もうすぐ、クリスマスイヴだ。
俺は、泣きじゃくる麻里恵を抱きしめながら、思った。
クリスマスに、麻里恵と一緒に居るという夢。
それだけは、叶いそうだ。
いや。
その夢は、叶わないほうが良いのかもしれない。
俺はいま、ここから消えたほうが良いのだ、きっと。
麻里恵が、俺のことを受け入れられない以上。
俺と一緒に居れば、麻里恵はただ辛いだけではないのか?
俺は、葛藤していた。
スコッティのティッシュで麻里恵の涙を拭きながら、俺はこう言った。
「俺……、麻里恵と一緒に暮らしたいって思ったんだ。初めて、そう思ったんだ……」
何言ってんだ、俺!
そんなことをいま言ったって、麻里恵を苦しめるだけなのに!
でも。
俺は、ちゃんと伝えたかったのだ。
麻里恵に。
ちゃんと、俺の気持ちを。
「麻里恵……、俺は本気でお前を愛してる。……だから、行けよ!ハリウッド……」