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俺は。


自分にとって、本当に大切な女を切った。


しかも、ふたり同時に、だ。



端から見れば、何をやってるのか?と責められても仕方ない関係を続けて来た俺だ。


しかし。


今は、そんなことを後悔しても仕方がない。



そんなことよりも。


俺は真由子と、冬子と出逢えた幸運に感謝していた。



そして。


俺は、そんな気持ちを断ち切って。


すべての気持ちを込めて、麻里恵を愛するのだ。


そのために。


俺は、当たり前のこととして他の女との関係を断っただけだった。



1994年のクリスマスが、もう目前に迫っていた。


このクリスマスは、必ず麻里恵と過ごす。


俺は、そう決めていた。



俺は、自分の気持ちを麻里恵に伝えた。


しかし。


当然受け入れてくれると思った麻里恵は、俺を拒絶した。



でも。


俺は、下りる訳にはいかないのだ。


俺は、やっと出逢うことが出来たのだから。


そう。


自分のことよりも大切に思える、初めての女に……。



次の夜。


俺は麻里恵の仕事仲間である、くみちゃんを池袋に呼び出した。


もちろん。


麻里恵が、何を考えているのかを探るためだ。



「……こんばんは!寒いですね!」


そう言って、くみちゃんはニッコリと笑った。