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真由子……。


俺は、湧き上がって来る熱い想いを必死で抑えていた。


そして。


俺は、真由子の肩に手をかけてゆっくりと押し戻す。



「ダメだよ、真由子。俺、ガマン出来なくなっちゃう……」


そう言った俺に、真由子はこう言った。


「いいんだよ……あたし、それでも……」



真由子……。


真由子の言葉が、心に痛かった。



俺たちは、ベッドの上に腰掛けていた。


そうなれば、当然。


俺は、真由子をベッドに押し倒す。



そして。


俺は、ゆっくりと真由子の唇を奪った。



いや!


やっぱり、ダメだ!



俺は、ひとつ息をついてベッドから起き上がる。


立ち上がって、ベッドに横たわる真由子の姿を見下ろした。



俺は。


今まで、ベッドに横たわる真由子の姿を何回も見てきた。


そして、俺は。


そんな真由子のことが、本当に好きだった。



だからこそ俺は、どこかで決着を着けなければならないと思っていたのだ。


一緒に居ても、きっと俺たちは幸せにはなれないと思うからだ。



「……ありがとう、さようなら真由子……」


そう言って部屋を出て行こうとした俺に、最後に真由子はこう声をかけた。


「あたし、このシーンずっと忘れられないんだろうな……」と。



俺は、後ろを振り返らずに真由子の部屋を出た。


涙がこぼれないように、上を向きながら。