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真由子とは、最近逢っていなかった。


真由子の仕事が、忙しくなったこともある。


しかし。


本当は、俺は真由子を避けていたのだ。



真由子に逢うのが、苦しかった。


俺は、逢えば真由子に優しく接する。


たとえ、愛せないとしても。


俺は、真由子を抱く。


そう。


愛せないとしても、だ。



俺は、本当に心苦しかった。


真由子のことが、大好きなのは間違いない。


しかし。


俺の気持ちは、今以上には決して動かないのだ。



そして。


俺は、ついに麻里恵に出逢ってしまった。



真由子は、最近顔が売れてきたこともあって、外で逢うのを嫌がった。


だから。


俺は、真由子の部屋に行くことになった。



真由子の部屋は、代々木上原にあった。


駅から、そう遠くない場所だ。



その日俺は、夜9時に真由子の部屋を訪れた。


7階建てのマンションの3階に、真由子の部屋はあった。


真由子の部屋は1kで、こじんまりとしたシンプルな部屋だ。


キッチンを抜けてドアを開けると、フローリングのリビングがあった。


左手には、セミダブルのベッドがある。


俺は、そのベッドに腰掛ける。


すると、真由子が俺の隣に滑り込むように座った。


ゆっくりと、俺に抱きついてくる。



俺は。


今夜、真由子と別れるつもりだ。


そう決めて、この部屋に来た。



「……逢いたかった!ひろさん……」


そう言って真由子は、俺の目を見つめながらニッコリと笑った。