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その夜。


俺は結局、麻里恵の部屋に泊まった。


麻里恵と、手をつないで。


麻里恵を、抱きしめながら。


俺は、麻里恵と一緒に夜を過ごす。


俺たちは、お互いの存在の大きさを確かめるように、しっかりと抱き合った。


俺たちは、そんな夜を過ごしたのだ。


幸いにも、俺に麻里恵の風邪は感染らなかったようだ。



次の朝。


すっかり元気になった麻里恵を置いて、俺は仕事に出かける。


「これ着て行きなよ。同じ服だと良くないでしょ?」


そう言って麻里恵は、はにかみながら黒いセーターを俺に手渡した。


麻里恵には少し大きなセーターが、俺にはちょうどよかった。


「ありがとう、ひろさん。ねぇ……。ううん!また、ね」


麻里恵は、そう言って少し寂しそうに両手を振った。



そんな麻里恵の姿を見た俺は、そのとき決心した。


麻里恵はいま、きっと不安なのだ。


俺は、まだはっきりと自分の気持ちを麻里恵には伝えていなかった。


それならば……。



俺は、玄関先で麻里恵を抱きしめながら、こう言った。


「俺、お前のことが……好きだ。俺とずっと一緒に居てくれないか?」


その言葉を聞いた、麻里恵の表情がこわばった。


「……ゴメンなさい。あたし……」


えっ?


俺は、麻里恵のそんな言葉に動揺していた。