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次の日。


午前8時15分。


俺は、表参道にいた。


今日のロケも、麻里恵と一緒だ。



そろそろ来るかな?


俺は機材のスタンバイを終え、ロケ車の白いハイエースの中に座っていた。


あれっ?


大きなメークボックスを抱えてやって来たのは、麻里恵ではなかった。


「……くみちゃん、おはよう!あれっ?今日も麻里恵ちゃんじゃなかったっけ?」


俺は自然に聞こえるように気を使いながら、メークのくみちゃんにそう言った。


「おはようございます!そうなんですよ。麻里恵さん、ちょっと体調崩しちゃって……」


「……そうなんだ。うん、今日よろしくね!」


俺は、くみちゃんにそう言いながら、麻里恵のことがとても気になっていた。



麻里恵は、ほとんど休みもなくハードな仕事を続けていたようだ。


この前だって、きっと貴重な休みだったに違いないのに……。


俺は、責任を感じていたのだ。


あの夜、麻里恵をちゃんと休ませてやれば……。



昼の空き時間に、俺は麻里恵の自宅と携帯に電話をした。


どちらも、出ない……。


いったい、どうしたんだろう?


俺は、麻里恵のことがとても心配だった。


しかし。


当たり前だが、仕事はちゃんと片付けなければならない。


俺は仕事が終わったら、麻里恵の部屋に行こうと決めていた。