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冬子には、とりあえずあいまいな返事をしておいた。



「俺だって、お前のことが好きだよ」


俺は、冷静に冬子にそう告げる。



そんな俺の態度を、冬子はどんな風に感じているのだろう?


でも。


まぁ、いいか。



俺は、相変わらずそんな風に時間を過ごしていた。



12月に入った、ある夜のことだ。


また弥生が、俺の部屋の前に立っていた。



「弥生!寒いのに何やってるんだよ!」


俺は、冷えた弥生の体を引き寄せる。


そして。


優しく抱きしめた。



「あったかいな、お兄ちゃん……」


弥生は寒さに体を震わせながら、ニッコリと笑って、そうささやいた。


その姿に俺は、栞の姿を重ねていた。



いかん!


俺は苦笑いしながら、部屋の鍵を開けた。



電気ストーブのオレンジ色の光が、弥生の顔を照らす。


「うん。あったかいよ、お兄ちゃん……」と、弥生がつぶやく。



俺は、温かいカフェオレを弥生に渡しながら、優しく声をかける。


「今度は連絡してから来いよ、弥生。寒い思いなんてしなくてもいいんだから、さ……」



弥生は俺の目をじっと見て、ニッコリと微笑む。


そして、こう言った。


「もう来ないよ、お兄ちゃん……」