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俺は、冬子の顔をじっと見た。


冬子は、やはりイイ女だ。


それは間違いない。


しかし……。



俺は、やはり冬子の気持ちを受け入れることは出来ないのだ。


俺は、冬子をギュッと抱きしめながら、しかし、そのとき何も言わなかった。



俺は、きっとまだ冬子を失いたくなかったのだ。


もし。


冬子の気持ちを、拒否すれば。


今のような関係を、冬子と続けるのは無理だろう。



俺は、ズルい男だ。


そして。


欲張りな男だ。



俺は、冬子を抱きながら考える。


きっと。


こんなことを続けていても、俺は幸せにはなれない。


そして。


もちろん、冬子も。


真由子だって、弥生だって、きっとそうなのだ。



俺は、本当は分かっていたのだ。


こんな生活を続けていても、自分が辛いだけなのに。



冬子の本当の気持ちを知った俺の心は、激しく揺れていた。


俺に関わる女は、結局不幸なのだ。


そんなことは、俺だって良く分かっていたのだ。



もうすぐ俺は、30歳になる。


昔のように、自分のワガママな気持ちだけでは、女を愛することは出来ない気がしていた。



俺は、裸の冬子を優しく抱きしめた。


冬子の肌の温もりを感じようとして。