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部屋に入った俺は、いつものように冬子を抱きしめて、ゆっくりとキスをする。
ん?
冬子の様子が、いつもとは違う?
確かに今夜の冬子は、いつもとは違っていた。
店でも冬子は、いつもよりかなり大人しかったし。
俺は、実は少し気になっていたのだ。
だから。
今夜は、冬子の部屋に行くのを避けたのだ。
こんなときは、環境を変えたほうが良い。
そんなもんだ。
さすがに、冬子に酒をあまり飲むな、と言ったせいだけではないだろう。
俺は、じっと冬子の目を見つめる。
「……どうした?冬子……」
俺は、冬子の髪を優しくなでながらそう言った。
「ひろさん、あたし……本気で、本気で好きになった男ができた……」と、冬子は真剣な眼差しで俺に言った。
そっか……。
俺はそのとき、ホッとしたような気持ちと、惜しいような気持ちと、ふたつの気持ちを同時に感じていた。
「……そうなんだ。いいヤツかい?そいつは?」
何言ってんだ、俺!
俺はそのとき、やはり動揺していた。
冬子を失うことは、俺にとってどうでも良いことではないのだ。
そして。
冬子は、ニッコリと笑いながら俺に抱きついて来た。
「うんっ!……ひろさん、あなたのことだから!」
へっ?
「あたし、あなたこと本気になっちゃったの!」
マジかよ!
俺は、さっきまでの感情が急激に醒めていくのを感じていた。