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そんな俺は、相変わらず無駄な夜を過ごすのだ。
冬子は、相変わらず仕事が忙しい。
しかし。
水曜日の番組を担当していた冬子は、水曜の午前中で仕事が終わる。
水曜は明けで、木曜は休みという訳だ。
だから。
俺の都合が合えば、逢えないわけではない。
ある水曜日の、夜のことだ。
俺は、冬子と一緒に北青山のレストランバーにいた。
その日の午後、俺の携帯に珍しく冬子から電話が入った。
「……うん。久しぶり。ねぇ、今夜逢えないかな?ひろに逢いたいの」と、冬子は言った。
相変わらず、冬子の声は艶やかだ。
俺はそのとき、俺に抱かれた冬子の姿を思い出していた。
「……あぁ、もちろん。俺もお前に逢いたいと思っていたんだ。それに、俺がお前の誘いを断るはずないだろ?」
俺は、調子良くそんな返事を返した。
「うん!嬉しい!」
そうハシャぐ冬子は、確かに可愛い。
しかし。
俺は、決して冬子を愛したりはしないが。
その店は、電車で行くには不便な場所にあった。
だから。
夜8時に渋谷で冬子を拾って、この店までポルシェで来たという訳だ。
俺は、いつものようにジンジャーエールを飲みながら考えていた。
今夜、冬子をどうしてやろうか、と。