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いつの間にか、東京にも冬が訪れていた。



栞と決着を着けられたことで、俺の気持ちは少し穏やかになった。


もちろん。


そんなにすぐに、栞とのことが良い思い出になる訳もないが。


そして。


もちろん、陽子とのことも。



しかし。


それでも俺は、もう大丈夫のような気がしていた。


俺は、一歩踏み出さなければならないのだ。


このままでは、きっと何も変わらないに違いない。



俺は、本気で女を愛したかった。


しかし。


そんな女は、残念ながら今の俺のまわりにはいなかったのだ。



まぁ、焦ることもない、か……。


俺は、のんびりと構えることにした。


きっと焦っても、仕方ないのだ。



とは言いながら、俺は相変わらず無駄な夜を過ごしていた。


真由子とは、あれからたまに逢っていた。


逢って、食事をして、寝る。


まぁ、そんな感じだ。



真由子は、少しずつ仕事も増えて来たようだ。


あまり有名になると、逢うのもややこしいな……。


俺は、そんな風に思った。



真由子だってきっと、俺のことなんて愛してないのだ。


真由子の体は、素晴らしい。


それは確かに惜しいが、真由子とはいつ終わってもいいさ……。



俺は真由子を抱きながら、いつもそんな風に思っていた。



結局、俺は自信がなかったのだ。


俺は、誰かから愛される資格なんて、きっとないんだ。


そんな気持ちが、まだ俺を支配していた。