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次の朝。


それでも、少しウトウトした俺が目を覚ますと。


栞はもう、俺の部屋から消えていた。



俺は、ガラステーブルの上に、栞の書き置きを見つける。


その書き置きには……。



……お兄ちゃん、ありがとう。


お兄ちゃんにまた逢えて、栞は本当に嬉しかったよ。



あたし、あの手紙のこと、ずっとお兄ちゃんに謝りたいと思っていました。



お兄ちゃん。


本当に、ごめんなさい。



あたし、本当にお兄ちゃんのことが大好きでした。



あの頃のあたしは不安ばかりで、きっといろんなことがちゃんと見えていなかったんだと思う。


きっとあたしが、お兄ちゃんの本当の気持ちに気づけなかったんだと思うの。


だから、あたしが悪いの。


お兄ちゃんが悪いんじゃないんだよ。



あたしは、いまとても幸せです。


だから、お兄ちゃん安心してね。



今の彼は、あたしをとても大切にしてくれています。


たぶん彼がいなかったら、あたしは立ち直れなかったと思う。



あたし、昨日お兄ちゃんに抱いて欲しいと思った。


でも、お兄ちゃんは結局、抱いてくれなかったよね。


でもね。


今のあたしには、お兄ちゃんの気持ちが良く分かるよ。



やっぱり、お兄ちゃんは素敵でした。


さようなら、お兄ちゃん。


今度こそ、本当に……。


加藤 栞



俺は。


栞からの手紙を握りしめながら、膝を抱えて長い時間涙を流していた。


これで、本当に。


サヨナラだ、栞。