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シャワーを終えた俺は、ひとつ大きく息を吐いて、シャワールームを出た。


「……栞?」


栞が、いない!



部屋に入った俺は、栞の姿が見当たらないことに動揺していた。



ん?


でも、栞が脱いだ服は、キレイに畳んでソファーの上に置いてある。


ということは、上か……。



俺は、苦笑いしながらゆっくりとハシゴを上った。



いまさら、栞が逃げるはずがない。


俺は、やはり不安だったのだ。


それは。


やはり栞に、逃げられた過去があるからだろう。



2畳ほどの狭いロフトに、栞はいた。


俺は、布団の上に横たわる栞に声をかける。


「……栞?」


栞は眠っていた。


えっ?


涙?


栞は、涙を流しながら眠っていた。



俺は、栞の涙を見た瞬間に。


自分の心に、小さなクラック(ヒビ)が入ったような気がした。


そして、そのクラックが少しずつ広がっていく。



気がつくと、俺は。


栞と同じように、涙を流していた。



俺の、栞への愛。


今の栞の環境と、気持ちを想う。



そんな複雑な気持ちが絡み合って、俺は混乱していたのだ。


いまさら栞を抱いたとしても、何も良いことはない。


そして。


抱いた後のことを考えると、確かに気が重い。



「俺も歳をとったよな、栞……」


俺は、そうつぶやきながら、栞の唇に優しくキスをした。