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俺は栞に背中を向けたまま、少しの時間考えていた。
もし。
栞が本当に、俺のものになったとしても。
それが、俺にとっても。
そして、栞にとっても。
幸せなことだとは、俺にはどうしても思えなかった。
俺は、ゆっくりと栞のほうに振り向く。
栞は涙を溜めた大きな瞳で、俺を見上げていた。
「……栞。本当に、すまな……」
!
そう言う俺の唇を、突然栞が塞ぐ。
そして。
栞の柔らかい舌が、俺の中にゆっくりと入って来た。
俺は、目を閉じる。
そして。
栞の体を、強く引き寄せる。
俺は、栞の髪を優しくなでる。
俺は、もう一度栞の顔を見た。
栞は、やはりとても美しい。
「……お兄ちゃん。あたし、自分の気持ちに決着を着けたい……」
真っすぐに俺を見つめる栞の視線が、俺には痛かった。
「……俺もだ、栞。俺は、ずっとお前のことが忘れられない。このままだと、この先もずっと……」
俺は、もう一度、さらに強く栞を抱きしめながら思った。
今夜こそ、俺は栞への気持ちに決着を着けるのだ。
俺は、栞の柔らかい耳たぶを優しく咬む。
そのとき。
俺は、あの頃とは違う栞の匂いにとまどいを感じていた。