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鍵を開ける。
ドアを開く。
狭い玄関からは、短い廊下が見える。
右手に小さいキッチン、左手にはユニットバスのドアがある。
数歩進んで、もうひとつのドアを開ける。
正面に大きなガラスの窓があって、その手前に25インチのモニターがある。
右手にはソニーのミニコンポがあって、左手には革張りの低いソファーがある。
そしてソファーの向こう側には、ロフトへと上がるためのアルミのハシゴがある。
それが、俺の部屋だ。
「……プロジェクトD達成だよ、お兄ちゃん!」
栞が、寂しげに微笑む。
以前、栞は俺にラブホテルへ連れて行って欲しいとせがんだ。
プロジェクトC。
それが、そのミッションの名前だった。
しかし……。
俺は今、栞の笑顔の裏にある悲しみを強く感じていた。
俺は、今。
いったい、何をしようとしているのだろうか?
俺は、明らかに混乱していた。
栞と、なぜ。
なぜ、一緒に俺の部屋にいるのだろう?
部屋に入った俺は、そんなことを考えながら、立ち尽くしていた。
そのとき。
後ろから、栞が俺に抱きついてきた。
「……お兄ちゃん、お兄ちゃん!」
栞が叫ぶように、そう言った。
俺は、栞の声を聞きながら、このあとどうするべきかを考えていた。