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俺と栞は、カウンターに並んで座っていた。
まるで。
初めて逢った、あの大阪の夜のように。
偶然とは、恐ろしいものだ。
いま、このタイミングで。
俺と栞が、再び出逢うなんて……。
「……元気なのか?栞……」
俺は、元気そうに見える栞に、あえてそんなふうに声をかけていた。
「うん、もう大丈夫。あれからちょっと時間かかったけど、もう平気だよ」
栞は、あの頃と同じように微笑む。
しかし。
そんな表情が、急に曇った。
「お兄ちゃん……あたし、ずっとお兄ちゃんに謝りたいって思っていたの」
栞の大きな瞳に、涙が溜まっていた。
栞が俺に、最後に送ってきた手紙。
それには、俺を本当は好きではない、と書かれていた。
あの頃の俺は、栞のそんな言葉に我を失った。
しかし。
今ならば、栞の気持ちも分かるし、許すこともできる。
いや、本当は。
四年前のあの時だって、分かっていたのだ。
俺は栞を失った悲しみをごまかすために、栞を悪者にしたのだ。
「何も謝らなくてもいいよ、栞。謝るとしたら、俺のほうだ」
俺はそう言いながら、溢れ流れた栞の涙を親指で拭った。
やはり、すべては偶然などではなく、必然なのだ。
俺は、今このタイミングで。
栞に再び逢えた奇跡を、神に感謝していた。