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マスターが投げてよこしたおしぼりで、手とカウンターを拭く。
やれやれ……。
苦笑いする俺に、マスターがこうつぶやいた。
「お前らしくないな……」
確かに。
俺は、マジで少しずつ我慢できなくなっていたのだ。
この状態から抜け出せない自分が、本当にイヤだった。
そして。
悪いことは、重なるものだ。
その頃、俺は仕事でも少しずつ立ち位置が変わってきていた。
つまり。
現場の仕事よりも、管理者としての仕事が増えていたのだ。
もちろん。
相変わらず、レギュラーの番組は持っていた。
しかし。
何もなければ、俺は土曜日のデスクを任されるようになっていた。
デスクというのは、俺たちの仕事の場合、現場の総責任者という重要なポジションだった。
翌日の仕事のラインナップは、夕方にほぼ確定する。
仕事の質、カメラマンとアシスタントの相性、スキル、そしてディレクターとの相性。
そういったことを総合的に判断し、約60班のクルーをコントロールする。
とっさの判断はもちろん、危機管理能力。
その他、就業スケジュールや健康、スキルの管理など。
あらゆることを統括して、コントロールする。
土曜デスクとはいえ、そういうポジションに足を突っ込むことになった。
俺は、今までのように自分の仕事だけをしていれば良いというわけには、いかなくなっていたのだ。