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俺は、どうかしてしまいたかったに違いない。
前の夜のことは、すぐに忘れれば良いのだ。
そして、そんなふうに意味のない夜をムダに過ごしながら、夏が終わった。
俺は、きっと自分で自分を痛めつけていたのだ。
何を、どうすればいいのだろう?
そんな生活を続けていても、もちろん答えが見つかるはずがなかった。
逆に。
ただ、虚しさが募るだけだ。
俺は、まだそんな生活から抜け出せないでいたのだ。
俺は時間が出来ると、相変わらず横浜の例の店に行った。
この場所では、穏やかな俺でいられる。
俺は、スローで甘いレゲエを聞きながら、そんなことを考えていた。
俺が、弥生に対して冷たく出来ないのは。
きっと、この店で初めて出逢ったからに違いないのだ。
俺は、ジンジャーエールの入ったウイスキーグラスを傾けながら、弥生のことを考える。
結局、相変わらず弥生は俺に電話をかけてきていた。
それは、俺にとって複雑な事実だった。
弥生に対しては、いつも優しい俺でいられた。
それは、きっと。
やはり弥生は、俺にとって特別な存在だからなのだろう。
しかし。
17歳の弥生を、俺は愛する訳にはいかない。
マスターは何も言わずに、お代わりのジンジャーエールのグラスをカウンターに走らせる。
俺はグラスを受け止めるときに、初めて手を濡らした。