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真由子を乱暴にベッドに下ろした俺は、薄い革のジャケットを脱いだ。
真由子を、じっと見る。
両手で口の辺りを隠すような格好をした真由子は、恥ずかしそうに俺から視線を外した。
それにしても、いい眺めだ。
こんな、場末のモーテルで。
大きなベッドに横たわる真由子の姿は、とても美しかった。
俺は、胸の高鳴りを抑えながら、真由子にゆっくりと近づく。
ゆっくりと真由子の上に重なりながら、俺は耳元でささやく。
「俺の言うこと、何でも聞けるよな?」
真由子は目を閉じたまま、ゆっくりとうなずいた。
真由子の体は、素晴らしかった。
肌はまるで、マシュマロのようにキメ細かく、柔らかい。
俺は、我を失わないように気持ちをコントロールする。
最高だ!
しかし……。
俺は、真由子を愛することはしない。
それは。
冬子にだって、弥生にだって、同じことだ。
俺は、どうかしてしまっていた。
いや。
本当のことを言えば、どうかしてしまいたかった。
だから。
俺は、どうかしてしまったかのように演じていたのだ。
でも。
冷徹に成りきれない俺は、やはり滑稽だった。
俺は、柔らかい寝息を立てる真由子の髪を優しくなでる。
そして、真由子の唇に触れるようなキスをしたあと、こうささやいた。
「ごめんな、真由子……」