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俺は真由子を見据えたまま、ゆっくりと立ち上がる。


真由子は体を硬くして、顔を紅潮させている。


俺は、滑り込むようにその革張りのソファーに座る。


そして。


俺は、自然に真由子と密着する形になった。



俺は、真由子のセミロングの髪を指で遊びながら、耳元でこうささやく。


「俺が怖い?」


真由子は俺の目を見つめながら、ゆっくりと左右に首を振った。


かわいい女だ。



俺は、真由子を優しく抱きしめる。


「アッ……」


真由子が小さく声を上げた。



「さっきの店で、さ……」と、俺はささやく。


「真由子、言ったろ。欲しいものは何も無いって」


真由子は、うんっとうなずいた。


「俺は言ったろ。お前が欲しいって。そして……」


真由子は、さらに体をこわばらせて目をふせる。


「……俺は、そんなお前が欲しがる対象っていうか、そんな存在になりたいって思ったんだ」



俺は、そんな心にもないことを言いながら、真由子の反応を見る。


真由子の表情が、パッと輝いた。


俺は真由子の耳たぶを軽くかみながら、こう言った。


「だから……。お前を今夜、俺のものにする」


俺は真由子を抱き上げて、ベッドへと運ぶ。


真由子は、そのとき俺の目を熱く見つめていた。