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国道17号線をしばらく走って、それから細い道へ左折する。


そして、俺たちはその場所に着いた。


そこは。


古臭い、モーテルだった。



今時まだこんなところがあるのか?というくらい、最近では珍しい場所なのかもしれない。


しかし。


今の俺の気分は、こんな場所がふさわしかった。



俺は、空いているガレージにポルシェを止めた。



「早く降りろよ……」


真由子に、そんな言葉をかけながら、俺は先に車を降りる。


しばらくして、真由子も車から降りてきた。



俺は、ポルシェのドアのキーをロックしながら、真由子の様子を見る。


真由子は、少し動揺しているようだ。



狙い通りだな。


俺は、心のなかでニヤリと笑う。



俺は、真由子をほったらかしにして、狭くて急な階段を登る。


続いて来る足音から、真由子が付いて来るのが分かった。



そのモーテルは一階がガレージで、二階が部屋になっていた。


かなり広めのベッドと、ゆったりとしたソファーがある。



俺がベッドに腰掛けると、真由子はソファーに座った。



俺は冷たい表情のまま、真っ直ぐに真由子を見つめる。


真由子は、不安げにキョロキョロと部屋の中を見回していた。