54
国道17号線をしばらく走って、それから細い道へ左折する。
そして、俺たちはその場所に着いた。
そこは。
古臭い、モーテルだった。
今時まだこんなところがあるのか?というくらい、最近では珍しい場所なのかもしれない。
しかし。
今の俺の気分は、こんな場所がふさわしかった。
俺は、空いているガレージにポルシェを止めた。
「早く降りろよ……」
真由子に、そんな言葉をかけながら、俺は先に車を降りる。
しばらくして、真由子も車から降りてきた。
俺は、ポルシェのドアのキーをロックしながら、真由子の様子を見る。
真由子は、少し動揺しているようだ。
狙い通りだな。
俺は、心のなかでニヤリと笑う。
俺は、真由子をほったらかしにして、狭くて急な階段を登る。
続いて来る足音から、真由子が付いて来るのが分かった。
そのモーテルは一階がガレージで、二階が部屋になっていた。
かなり広めのベッドと、ゆったりとしたソファーがある。
俺がベッドに腰掛けると、真由子はソファーに座った。
俺は冷たい表情のまま、真っ直ぐに真由子を見つめる。
真由子は、不安げにキョロキョロと部屋の中を見回していた。