45


「……えっ?逢ったことあったかなぁ?」


俺は、彼女の顔をじっと見つめる。


逢ったことは、たぶんないだろう。


俺はキレイな女の顔を、決して忘れたりはしないのだ。



「ということは、割と近いところで仕事してるってことだよね?」


俺は、相変わらず真っ直ぐに彼女の瞳を覗き込む。



「うん!モデルとか、ちょっと役者もやってるの」と、彼女も真っ直ぐに俺を見ながら言った。



なるほど、ね。


さすがにスタイルも良いし、立ち姿も美しいワケだ。



「早瀬真由子です。よろしくねっ!」


真由子は、俺に右手を差し出しながらニッコリと笑った。


俺は、真由子と握手しながら苦笑いしていた。


面白い子だな、この子。


そのとき。


俺はすごい美人なのに、とても気さくな真由子のことが気に入っていた。



「真由子ちゃんてさぁ、タケシの知り合いなの?」と、俺は聞いた。


「ううん。今日初めてだよ。あたし、ひとりで来たし」と、真由子は寂しそうに言う。



「そっか……」


俺は、コーラを紙コップに注ぎながら、そうつぶやく。



「とりあえず、乾杯だな」


俺と真由子は、紙コップを重ねて乾杯した。


「……ねぇ、何に乾杯?キミの瞳に乾杯!とか言わないでよね!」と、真由子が笑う。



「あはは!そうだな。それじゃあ、出逢った奇跡に乾杯!」


俺は、そのときちょっと冬子のことを思い出した。



「あはは!良いね、それ!」と、真由子が笑う。



俺たちは、笑い合いながら、もう一度紙コップを重ねて乾杯した。