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「……えっ?逢ったことあったかなぁ?」
俺は、彼女の顔をじっと見つめる。
逢ったことは、たぶんないだろう。
俺はキレイな女の顔を、決して忘れたりはしないのだ。
「ということは、割と近いところで仕事してるってことだよね?」
俺は、相変わらず真っ直ぐに彼女の瞳を覗き込む。
「うん!モデルとか、ちょっと役者もやってるの」と、彼女も真っ直ぐに俺を見ながら言った。
なるほど、ね。
さすがにスタイルも良いし、立ち姿も美しいワケだ。
「早瀬真由子です。よろしくねっ!」
真由子は、俺に右手を差し出しながらニッコリと笑った。
俺は、真由子と握手しながら苦笑いしていた。
面白い子だな、この子。
そのとき。
俺はすごい美人なのに、とても気さくな真由子のことが気に入っていた。
「真由子ちゃんてさぁ、タケシの知り合いなの?」と、俺は聞いた。
「ううん。今日初めてだよ。あたし、ひとりで来たし」と、真由子は寂しそうに言う。
「そっか……」
俺は、コーラを紙コップに注ぎながら、そうつぶやく。
「とりあえず、乾杯だな」
俺と真由子は、紙コップを重ねて乾杯した。
「……ねぇ、何に乾杯?キミの瞳に乾杯!とか言わないでよね!」と、真由子が笑う。
「あはは!そうだな。それじゃあ、出逢った奇跡に乾杯!」
俺は、そのときちょっと冬子のことを思い出した。
「あはは!良いね、それ!」と、真由子が笑う。
俺たちは、笑い合いながら、もう一度紙コップを重ねて乾杯した。