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俺とタケシの関係は、けっこうサッパリしている。


お互いに、なんとなくお互いの女関係を知ってはいるが、特に口を挟んだりはしないのだ。


男同士の関係って、だいたいそんなもんだ。


気にならないワケではないが、あまり深く知らないほうがお互いに気が楽だ。



「まぁ飲めよ、コーラでも」と、タケシは笑った。


春の日差しは、ひなただと暑いくらいだった。


見上げると、そこには満開の桜。


芝生の上を渡ってきた青臭い風が、気持ちいい。


そして。


安心できる、友達がいる。


そんなことが。


俺の尖った気持ちを、ほぐしてくれていた。



やっぱり、来て良かった。


俺は、素直にタケシに感謝した。



そして。


今日集まっているメンバーは、かなり個性的な面々だった。


音楽関係の人間もいれば、アーティストもいる。


写真家やイラストレーター、そしてモデルや女優の卵。



俺は、近くにいた人たちと、当たり障りのない話をしていた。


でも。


普段はめんどくさいそんな会話も、今日は楽しかった。



「初めまして……ねぇ、テレビのカメラマンなんでしょ?どこかで逢ったことなかったですっけ?」


気がつくと、俺のとなりに座っていた女が、そう俺に話しかけてきた。


それが。


俺と真由子の、初めての出逢いだった。