44
俺とタケシの関係は、けっこうサッパリしている。
お互いに、なんとなくお互いの女関係を知ってはいるが、特に口を挟んだりはしないのだ。
男同士の関係って、だいたいそんなもんだ。
気にならないワケではないが、あまり深く知らないほうがお互いに気が楽だ。
「まぁ飲めよ、コーラでも」と、タケシは笑った。
春の日差しは、ひなただと暑いくらいだった。
見上げると、そこには満開の桜。
芝生の上を渡ってきた青臭い風が、気持ちいい。
そして。
安心できる、友達がいる。
そんなことが。
俺の尖った気持ちを、ほぐしてくれていた。
やっぱり、来て良かった。
俺は、素直にタケシに感謝した。
そして。
今日集まっているメンバーは、かなり個性的な面々だった。
音楽関係の人間もいれば、アーティストもいる。
写真家やイラストレーター、そしてモデルや女優の卵。
俺は、近くにいた人たちと、当たり障りのない話をしていた。
でも。
普段はめんどくさいそんな会話も、今日は楽しかった。
「初めまして……ねぇ、テレビのカメラマンなんでしょ?どこかで逢ったことなかったですっけ?」
気がつくと、俺のとなりに座っていた女が、そう俺に話しかけてきた。
それが。
俺と真由子の、初めての出逢いだった。