41


北口から東口へと歩く。


そして。


俺と陽子は、ミルキーウェイという喫茶店に入った。



俺たちは、久しぶりに向かい合っていた。


星をモチーフにした、バカみたいにかわいくてデカい器で飲み物が出てくる。


マヌケな俺には、ピッタリのシチュエーションだ。



「……ホントは、話すことなんてないんだけどね。もう、話しても仕方ないっていうか……」



俺は、平静を装って穏やかに話した。


陽子は、下を向いて何も言わなかった。


「……荷物は、お前がいないときに運び出すから。カギはポストにでも入れておくよ」



陽子が、顔を上げて俺を見た。


瞳から、涙がこぼれ落ちそうだった。



「ごめんなさい、ひろ……」


陽子は、つぶやくようにそう言った。


「……もういいよ。もう何も言わなくていいから……」



俺は、自分の感情に驚いていた。


俺を裏切った陽子に、俺は気を使っているのだ。



俺は、やっぱりバカな男だ。



俺は、確かに陽子を愛していた。


しかし。


結局は、もうどうでも良かったのかもしれない。



表面上は、陽子の幸せを考えているように見えるかもしれない。


でも。


本当は、俺は陽子と別れたかったのだ。


もしも陽子が、俺に対して罪の意識を持つのだとしたら。


それはそれで、ざまぁ見ろ、という感じだ。



しかし。


そんなことは、陽子はすぐに忘れてしまうだろう。


だって。


女なんて、そんなものさ。