40
こんな気持ちは、きっと時間だけが解決してくれるものなのだろう。
俺は、今までに同じようなことを何度も経験してきたではないか。
今回のことだって、大したことじゃない。
でも……。
いや。
こんな気持ちを無くす、最も簡単な方法があった。
それは。
俺が誰かを、好きになること。
俺が誰かを、愛することだ。
確かに、弥生や冬子と一緒にいたときは、気が紛れた。
きっと、愛がなくたって、気は紛れるのだ。
しかし。
だからといって、そんなに簡単にはいかない、さ……。
そして。
俺は、冷徹になりたかった。
今の、このどうしようもない気持ち。
それを、女に冷たく接することで紛らわせたかった。
しかし。
きっと、俺は冷徹に成りきれないのかもしれない。
それでも。
今は、そうするしかないのだ……。
そんな最悪な感じで、1994年はスタートした。
そして。
秋田に帰省していた陽子が、東京に戻ってきた。
俺は陽子に逢って、ちゃんと決着をつけることにした。
俺は、陽子に電話をかける。
「……あぁ、俺。うん、逢って話そう。じゃあ……」
俺は、思っていたよりも冷静に、陽子と話をしていた。
しかし。
受話器を握りしめる手は、かすかに震えていたが。
俺はその日、陽子を池袋に呼び出した。
陽子の部屋や、俺の部屋で話すのは嫌だったからだ。