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「おまえが、俺を元気にしてくれよ……」
俺は、それ以上のことは言わずに、冬子の瞳を熱く見つめた。
冬子は、俺の視線を正面から受け止めていた。
右手で髪を軽くいじりながら、ゆっくりと口を開く。
「……そうだね。慰めてあげてもいいよ。でも……わたしも、ね」
その夜。
俺は、冬子を激しく抱いた。
それは。
俺のなかでは、陽子への当てつけでもあった。
そんなことをしても、いまさら何の意味もないことは、俺だって分かっていた。
しかし……。
すべてが終わってから俺は、やはり後悔していた。
また、面倒の種を抱えてしまった……。
冬子のことは、もちろんキライではない。
しかし。
確実に言えることは、俺は冬子を愛してはいないということだ。
そして。
これからも俺は、冬子を愛することは、しないだろう。
俺は、眠っている冬子に背を向けながら、そんなことを考えていた。
「……ねぇ?起きてるの?」
冬子がそうつぶやきながら、俺の背中に抱きついて甘える。
背中に冬子の柔らかい胸の感触を感じながら、俺は目を閉じる。
今日は、変な1日だった。
俺は、夕方別れた弥生のことを考えていた。
弥生は、いったいどうしたいのだろう?
俺みたいなオッサン(弥生からしたらだけど)をかまっても、仕方ないだろうに。
俺は、冬子のほうに向き直って、冬子をギュッと抱きしめる。
しかし。
俺は、アタマのなかで陽子のカラダを思い出していた。