33


50分後。



俺と冬子は、神泉にいた。


渋谷のホテル街を抜けて、俺は車を止める。



何度も言うが、こんなとき、酒を呑まないメリットは大きい。


俺は、ポルシェに冬子を乗せて、ここまで来たという訳だ。



俺たちは、車を降りて歩く。


「ねぇ、どこに連れて行ってくれるの?」


冬子が、甘えた声を出す。


「……いいところ」と、俺はとぼけておいた。


「いきなり、ホテルに連れて行かれるのかと思った」と、冬子は笑った。


「なに?そうして欲しいの?」と、俺は冬子をからかう。


「あはは!」


冬子は、楽しそうに笑った。



いつの間にか冬子は、俺のひじに腕を絡ませていた。


冬子の大きめのバストが、腕に当たる。


柔らかい……。


なかなか、良さそうだ。


やっぱり、この子は悪い女だ。



でも。


俺も、歳をとったな。


若い頃は、こんなシチュエーションだと、ドキドキしたもんだ。


しかし、いまは……。



俺たちは、お好み焼きの店に入った。


そこは、広島風と関西風のお好み焼きを食べさせる店だ。


メニューも、広島風、関西風と分かれていた。


大きな鉄板があるのだから、当然鉄板焼きのメニューも充実していた。


「面白いお店……」


冬子は、そう言って微笑んだ。