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俺は、メリットライトのハードパックから一本取り出す。
キーン!
デュポンラインⅡ、ブラック・ラッカーのライターが、乾いた良い音で鳴った。
しかし。
火を点けようとしたが、点火しない。
……ガス切れ、か。
やばい。
俺は、予備の100円ライターを探すが、どのポケットにもなかった。
カチッ!
そのとき冬子が、俺に火を差し出した。
カルティエの紅くて細いライターだ。
「あっ……ありがとうございます」
俺は、あたふたと礼を言った。
そのとき。
冬子は、ニッコリと微笑みながら、俺にこう言った。
「いえいえ、どういたしまして。せっかくなので、ご挨拶させてもらってもいいですか?」
冬子が差し出した名刺を見る。
ディレクター、なんだ……。
「同業者ですね!」
俺は、微笑みながら冬子に名刺を差し出した。
冬子は、あるテレビ局で情報番組のディレクターをやっているらしい。
それから。
パーティーが終わるまでの、数十分。
俺たちは、いろいろな話をした。
楽しかった。
「つまらないパーティーだと思ったけど、楽しくなった」と、冬子は俺をじっと見つめながら微笑む。
やっぱりこの子は、悪い女だ。
俺は、冬子の目を見つめ返しながら、こう言った。
「このあと、どうする?」