28


俺は、弥生の顔をじっと見る。


俺は、弥生の許容範囲を、ほぼ6歳オーバーしていた。


そのことが、俺にはラッキーでもあり、少し寂しくもあった。



俺は、弥生の瞳をじっと見つめる。


そして、ゆっくりとこう言った。


「俺、もうすぐ29歳……。マジで。弥生の12こ上だよな」



まさかこのまま、16歳の子と遊ぶわけにはいかないし。


これで弥生が、俺に興味をなくしてくれればいいのだが。



俺は、弥生の反応を見る。


弥生は、一瞬キョトンとして、小首をかしげる。


そして、焦ったように口を開いて、こう言った。


「訂正、訂正!許容範囲、15こ上まで大丈夫、に訂正!」



俺は、苦笑いするしかなかった。



弥生は、かわいい。


しかし。


いまの俺が、弥生にしてやれることなんて、あるのだろうか?



俺は、陽子に裏切られてから、女を憎んでいた。


でも。


そんな、後ろ向きの感情を、弥生にぶつける必要もない。


弥生は俺にとって、きっと特別なのだ。



「俺は、弥生を恋愛対象には見れないよ。だから、早く帰ったほうがいい」


俺は、少し冷たい声を出す。



そのとき弥生は、なぜかニッコリと笑った。


「うん。それでもいいよ。でも、また逢ってくれる?」と、弥生は言った。


えっ?


涙?



弥生はニッコリ笑いながら、泣いていたのだ。