22


「俺はサラダが好きだから、ジョナサンに行くと必ずサラダをオーダーしたんだ。ジョナサンサラダ。ドレッシングは和風でね」



弥生は、俺の話に乗ってきたようだ。


眠そうだった目に、輝きが戻る。



「で、あるときね。友達に呼び出されて、珍しくデニーズに行ったんだよ。そこで、何が起こったと思う?」


「……うーん、分かんない!なになに?教えてよ!」と、弥生は楽しそうに笑った。


この子は、こんな風に笑うんだ……。


俺は、弥生のそんな姿を見ることができて、少しうれしくなった。



「うん。それで俺は、いつものように何も考えずにサラダをオーダーしたんだよ」


「うん、それでそれで?」


弥生が、さらに子供っぽく見えた。


「コーヒーとね、ジョナサンサラダくださいって言ったのさ。デニーズなのにジョナサンサラダだよ。そのときの、ウェイトレスの顔ときたら……」


「バカだね~あははっ」と、弥生は笑った。


俺も、笑いながら続きを話す。


「でもね、本当に可笑しいのは、ここからさ。ウェイトレスのお姉さんは、笑いをこらえながら……」


「こらえながら?」


弥生が、合いの手を入れる。


「コーヒーと、ジョ、ジョナサン……じゃなくて、デニーズサラダですよね、って言ったのさ」



深夜のこの時間だと、きっと何を言っても可笑しいのかもしれない。


しかし。


俺たちは、かなり長い時間大笑いをしていた。


そして。


俺と弥生の距離は、急速に近づいていた。