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「俺はサラダが好きだから、ジョナサンに行くと必ずサラダをオーダーしたんだ。ジョナサンサラダ。ドレッシングは和風でね」
弥生は、俺の話に乗ってきたようだ。
眠そうだった目に、輝きが戻る。
「で、あるときね。友達に呼び出されて、珍しくデニーズに行ったんだよ。そこで、何が起こったと思う?」
「……うーん、分かんない!なになに?教えてよ!」と、弥生は楽しそうに笑った。
この子は、こんな風に笑うんだ……。
俺は、弥生のそんな姿を見ることができて、少しうれしくなった。
「うん。それで俺は、いつものように何も考えずにサラダをオーダーしたんだよ」
「うん、それでそれで?」
弥生が、さらに子供っぽく見えた。
「コーヒーとね、ジョナサンサラダくださいって言ったのさ。デニーズなのにジョナサンサラダだよ。そのときの、ウェイトレスの顔ときたら……」
「バカだね~あははっ」と、弥生は笑った。
俺も、笑いながら続きを話す。
「でもね、本当に可笑しいのは、ここからさ。ウェイトレスのお姉さんは、笑いをこらえながら……」
「こらえながら?」
弥生が、合いの手を入れる。
「コーヒーと、ジョ、ジョナサン……じゃなくて、デニーズサラダですよね、って言ったのさ」
深夜のこの時間だと、きっと何を言っても可笑しいのかもしれない。
しかし。
俺たちは、かなり長い時間大笑いをしていた。
そして。
俺と弥生の距離は、急速に近づいていた。