21


俺は、変わらなけばならない。


ただ優柔不断に、女の耳に心地よい言葉をかける。


それを女は、優しいと錯覚しているだけだ。


俺は、優しいわけではない。


だから。


俺は、ダメなのだ。


きっとこのままでは、また同じことを延々と繰り返すに違いない。



そんなことを考えながら俺は、ひとつため息をつく。



真っ暗な車内に、コンソールパネルにあるデジタル時計の、グリーンの光だけが輝いていた。


時刻は、午前3時を過ぎている。


俺は、ポルシェのライトをアップさせた。


何も言わずに、俺はまた夜の街にポルシェを出す。


弥生は、また俺の横顔をじっと見つめていた。



しばらくポルシェを走らせた俺は、環七沿いのデニーズに寄る。



テーブルを挟んで、俺と弥生は初めて向かい合って座っていた。


そういえば、明るい場所で弥生を見るのも初めてだった。



弥生は、実際の歳よりも若く見えた。


もしかしたら、本当に実際はもっと若いのかもしれない。



弥生は、サラダとコーヒーを注文した。


俺も、同じものをオーダーする。


「サラダといえば、くだらない話があってさ」と、俺は弥生に話しかけた。


「俺のメインファミレスは、ジョナサンだったんだ。昔住んでたところから、徒歩45秒のところにあったからね」


弥生は、小首をかしげながら興味深そうに話を聞いていた。