19
俺は、ポルシェを東京に向けて走らせる。
不思議と、眠気は覚めていた。
助手席には、弥生が座っている。
きっと、そのせいに違いない。
西野弥生。
24歳。
本当かどうかは、分からない。
俺が知っている、いま隣に座っている女の情報は、それだけだった。
でも今は、それだけで十分だ。
弥生は、寂しそうに窓の外を流れる景色を見ていた。
この女に、いったい何があったのだろうか?
気にならないといえば、嘘になる。
さて。
ところで、これからどうしたものか?
俺は、無理やり女を抱こうとは思わない。
後味が悪いのは、好きではない。
確かに、そういうことも少なくはない。
でも一応は、そういうポリシーということだ。
俺は、このあと弥生と、どうこうしようとは思わなかった。
今夜は、なぜかそんな気分ではなかったのだ。
俺たちを乗せたポルシェは、首都高の横羽線を走っていた。
「……どうしたいの、弥生?」
俺は、優しくそう聞いた。
弥生は、何も答えない。
その代わりに、弥生は運転する俺の横顔を、じっと見つめた。
まぁ、いいか。
俺は、芝浦ジャンクションで首都高を降りた。