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酒を呑まない一番のメリットは、絶対に飲酒運転で捕まらないことだ。
これは、かなり大きなメリットだと思う。
しかし。
俺は、酒でイヤなことを紛らわすことができない。
でも、本当は。
そうしたければ、少しの酒でも呑めばいいだけのことだ。
そうしない俺は、やはり呑みたくないから呑まないのだろう。
俺は、逃げたくなかったのかもしれない。
酒に逃げていた恭子の世話を焼くたびに、俺は酒への嫌悪感を募らせた。
恭子は、酒に酔うと手が付けられなかった。
自殺未遂。
失踪。
浮気。
俺は、恭子に振り回され続けた。
しかし。
5年という時間を、俺と恭子は共に過ごしたのだ。
俺は、きっと恭子のことを愛していたのだと思う。
そして。
俺がいなければ、恭子は死んでしまうのではないか、と恐怖したのだ。
メリットライトの煙が、ゆっくりと上がっていく。
そのとき。
俺は、隣に座っていた女に気付いた。
チラッと姿を盗み見る。
スレンダーな体だ。
そのわりには、グラマーな気がする。
俺は、ゆっくりと女の顔を見た。
えっ?
泣いてる?
俺は、いつの間にかその女に声をかけていた。
西野弥生。
それが、俺と弥生の初めての出逢いだった。