俺は、陽子の部屋に入る。


えっ?


俺は、そのとき背中に冷や汗が流れたような気がした。



なんで、玄関に男の靴がある…?



薄暗い玄関にあったそれは、黒い革靴だった。


そしてそれは、どう見ても男物だ。



そのときの俺は、かなり混乱していた。


まさか、そんなことって……。



部屋の灯りは、消えていた。


ということは、つまり……。



そしてそのとき、俺は聞いてしまったのだ。


そう。


俺しか知らないはずの、陽子のあの声を……。



それは、まさに決定的な事実だった。



しかし俺は、そのとき自分でも不思議なほど冷静だった。


この場に踏み込んだとしても、もうどうしようもない。



俺は、黒いディーパックから、陽子へのクリスマスプレゼントの包みを取り出す。


そして、それを玄関先にそっと置いて、俺は部屋を出た。



近くの公園まで歩いたところで、俺は急にタバコが吸いたくなった。


街灯の下まで行った俺は、メリットライトのハードパックから一本取り出し、ウインドミルのターボライターで火を点ける。


街灯の灯りに沿って上がって行く、青紫色の煙を見上げながら、俺はあのときのことを思い出していた。


そう。


恭子とのことを。