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目に見える幸せこそが、本当の幸せなのだ。


そして、手に触れることができる幸せこそが、本当の幸せなのだ。



もしもエミが、俺をずっと受け入れ続けてくれるのならば、俺はエミを、ずっと愛することだろう。


そして、もしも美佐が、俺をずっと愛し続けてくれるのならば、俺は美佐を、ずっと愛し続けるのだ。



エミに、つらい思いをさせているのは、俺だってよく分かっていた。


俺には、美佐がいる。



だから、エミが俺のことがイヤになったら、それで俺とエミは終わる。


ただ、それだけのことだ。



しかし俺は、徹底的にエミを愛する。


エミが俺を愛してくれるのならば、俺はエミが与えてくれたそれ以上の愛をエミに与えるのだ。


そして、それは。


俺の義務でもある。



俺は、クリスマスをエミと一緒に過ごした。


そして、美佐ともクリスマスを一緒に過ごす。


東京と大阪で、俺には違う現実があるのだ。



そして、もしもあのとき…。


もしかしたら、有紀や別の女や、そしてリカとも、別の現実があったのかもしれないのだ。



俺は広島に帰ると、そのままリカの墓参りに行った。



後悔のない毎日を送ること。


何かを残すこと。


そして、愛し続けること。



俺はただ、手に触れることが出来る幸せを、大切にすればいい。


そうすればきっと、ずっと幸せでいられる。


俺は、リカの墓前で手を合わせながら、そんな気がしていた。



恋愛小節1983


Copy right by 出雲 裕雪





皆さん『恋愛小節1983』いかがだったでしょうか?


明日からは『恋愛小節1994』をスタートさせます。


お楽しみに!