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それから、俺とリカの距離は急速に近づいた。


男子部と女子部は、一緒に練習することはないが、共通のルールで運営されていた。


必然的に、キャプテン同士である俺とリカが話し合うことも多くなった。


つまり俺たちが、一緒にいる時間も増えた、ということだ。



しかし。


その頃の俺は、どうしようもない悩みを抱えていた。


右手に致命的なケガを負った俺は、もうプレイヤーとしては終わりだったのだ。


以前のように、微妙なラケットコントロールは、もう出来ない。


しかも、ラケットを振ると、常に痛みが伴うのだ。



俺は、自らレギュラーの座を降りた。


それでも、キャプテンはキャプテンだ。


しかし、レギュラーではないキャプテンは、つらいポジションだった。



リカは、そんな俺をいつも気にしていてくれた。


必要以上に、俺に優しくしてくれた。


しかし、それは俺にとっては、逆につらいことだった。



テニスがちゃんと出来るお前に、俺の何が分かる?


俺は、リカを突き放すように、そう言ったこともある。



俺は、本当は分かっていたのだ。


すべては、俺のワガママだということを。



俺は、リカをなるべく避けるようにした。


俺のその行為は、確実にリカを傷つけたようだ。


そして俺は、そのことを、ずっと悔いていたのだ。


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リカとは、そんな感じで部活引退までを一緒に過ごした。


美佐と付き合い始めてからも、リカと一緒にいる時間は、美佐とよりも長かったのだ。



俺の挫折を、知っている女…。


だから俺は、本当はリカに感謝しながらも、冷たく接してしまっていたのだ。



しかし…。


それは、もう4年も前の話ではないか。


それは、子供の頃の話。


そう。


過去の話なのだ。



自動車学校のロビーで、俺たちは偶然出逢った。


俺は、そのときリカに、ちゃんと向き合ってみようと思ったのだ。


これは、いいチャンスかもしれない。



「…久しぶり。元気だったかい?リカ…」


俺は、笑いながらそう言った。


リカは、少し驚いたように俺を見た。


そして、ニコニコしながら、こう言った。


「やっと笑ってくれたね。良かった!」


リカの笑顔を見ながら、俺は自分の罪を悟った。


俺はリカに、ずっとイヤな思いをさせていたのだ。



「ゴメンな…。ありがとう、リカ…」


そう言いながら俺は、リカに右手を差し出していた。


差し出したその手を、リカは両手で受け止めた。


俺は、5年ぶりにリカとちゃんと向き合うことができたのだ。



それから、3時間後。


俺とリカは、喫茶店で向かい合って座っていた。