101
真っ白い内装のその部屋は、シンプルがゆえに、逆にイヤらしさを感じさせた。
というか、そう思っていたのは、やる気マンマンの俺だけかもしれないが。
しかし。
この場所にいることだけで、俺はホッとしていた。
美佐と、ふたりだけの秘密を積み重ねること。
それだけが、俺を安心させる。
俺は、美佐をゆっくりと抱きしめる。
そして、優しくキスをする。
美佐の首筋に舌を這わせながら、今は美佐だけを愛そう、と思った。
美佐の反応は、この前と全然違っていた。
そして俺は、その事実を意外に感じていた。
女って、そんなもんなのかな?
俺は、女って怖いな、と勝手に感じていた。
処女性を求める、幼い男の幻想とは、そんなものだった。
いずれにしても、俺と美佐との関係は、寝たことによって、以前とは全く違うものになってしまった。
しかし、それは当たり前のことだ。
寝る、ということ。
それは、新たに知った強烈に欲する喜びであり、すべての面倒の種でもある厄介なものだ。
美佐を抱きながら、俺はそんなことを考えていた。
その日の夜、俺は広島に帰った。
これから約1ヶ月、俺は広島での生活に戻るのだ。
102
この1ヶ月の間に、俺は運転免許を取らなければならない。
軽音楽部の夏合宿までには必ず、だ。
去年、実家から徒歩約8分のところに、突然自動車学校が出来た。
それまでは、自動車学校なんて近くにはなかったのだ。
これから免許を取ろうとしている俺にとっては、全くラッキーな話だ。
俺がこの夏、広島でやらなければならないことといえば、この自動車学校に通うくらいだった。
大学の課題で、ちょっとした撮影をしなければならないが、そんなものは1日で片が付く。
という訳で。
俺は毎日、朝から自動車学校に通って、学科の講習を受けていた。
しかし…眠すぎる。
でも、こればっかりはガマンしなければ仕方ない。
そんな講習の休憩時間に、俺はロビーでジュースを飲む。
やっぱり、コーラはうまい!
その瞬間、俺はふと、美佐のことを考えてしまう。
美佐と一緒に過ごす時間は、やはり非日常的だ。
まるで遠い昔の、夢の中の出来事のように感じられる。
ほんの少し時間が経っただけなのに…。
遠距離恋愛って、そういうものなんだろうか?
普通は、逢いたい気持ちを溜め込んで、逢ったときに爆発させる。
確かに、俺だってそうだ。
しかし、やはり逢うまでの時間は、とても長くて、とてもつらいのだ。