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「ゴメン、エミ…」


俺は、エミの肩に手をかけて、ゆっくりと押し戻した。



エミは、俺の目を見ながらゆっくりと微笑む。


「やっぱり…。あたし、そんな気はしてたんだ。ヒロユキ、絶対好きな人いるって」


エミは、思ったよりあっけらかんとそう言った。


しかし、エミが強がってそうした態度を取っているのは、すぐに分かった。


「もう逢わないほうがいいよ、きっと…」


俺は、冷たくそう言い放った。



俺は、エミのことはキライではない。


だから、本当はそんな態度をエミに取るのはつらかった。


しかし、それは仕方がないことだ。



「ありがとう。バイバイ!元気でね…」


そう言って駆け出すエミを、俺はただ見送るしかなかった。



そして、それ以来エミには逢っていない。


1年半ぶりに、こんな形で再会するなんて…。


俺は、エミとの腐れ縁を感じていた。



人と話す機会を失っていた俺は、取り戻すようにエミとたくさん話をした。


あれからのことや、友達のこと。


そして音楽の話。


楽しかった。



この東京で、今はエミだけが近しい存在のような気がした。


そして俺たちは、いつの間にか、あの頃のふたりに戻っていた。


いや、あの頃以上のふたりに…。


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大学生活が、やっと始まった。


そして学内では、クラブ活動の勧誘が盛んに行われていた。


俺は、迷わず軽音楽部のところに行く。


「すいません!入部します!」


俺のその一言で、その場が沸いた。


「第一号!入部決定!」


どうも俺が、初めての新入部員になったようだ。



それから俺は、新入部員にもかかわらず、先輩のフリをして勧誘を手伝ったりしていた。


「エミっ!」


俺は、通りかかったエミに声をかける。


「入るよね、エミも。…また一緒にやるかい?」


エミの表情が曇る。


えっ?


「あたし…うん、考えとくね。じゃあ…」


去って行くエミの後ろ姿を見ながら、俺は感じていた。


やっぱり、俺とはもう音楽はやりたくないんだ…。


俺は、その事実を冷静に受け止めていた。


仕方ない、よな…。



学科が違うと、なかなか偶然には逢えないものだ。


エミと話がしたかったが、それからエミに逢うこともなく時間が過ぎていった。



俺はその夜、公衆電話からエミに電話をかけた。


「…もしもし?」


「俺。いま何してる?」


「ヒロユキ?電話くれたんだ!嬉しいなぁ…」


エミの声は、とても楽しそうだった。


「…ねぇ。ウチに遊びに来ない?一緒にご飯食べようよ!」