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そして俺たちはまた、新大阪駅の裏にある地下道をふたりで歩いていた。


この場所は、相変わらず人通りが少ない。


「どこか、ふたりきりになれる場所があればいいのに…」


思わず俺は、そうつぶやいていた。


「…そうだよね。こんなとき普通は、どうしてるんだろうね…」と、美佐が小さな声で言う。



美佐…。


俺は、美佐の体を引き寄せて、強く抱きしめる。


そして何度も何度も、この前よりも長いキスを交わした。



俺は、不安だったのだ。


俺たちふたりにとって、遠距離恋愛は、本当に正しい選択なのだろうか?


お互いに、つらい思いをするのは分かっていた。



でも。


俺は、いま確かに俺の腕のなかにいる美佐のぬくもりを感じながら、実感していた。


こんなにも愛おしくて、大切な美佐を失いたくない。


だから、美佐を絶対に離さない。



俺たちは、見つめ合い、お互いの気持ちを確かめながら、長いキスを交わす。


このまま、時間が止まったらいいのに…。


そのとき俺は、確かにそう願っていた。



新幹線が、新大阪駅を離れる。


俺たちは、お互いに微笑みながら、手を振って別れた。


そしてこの別れは、ふたりの新しい生活の始まりでもあったのだ。


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俺の部屋は、古い一軒家の2階にあった。


下には、大家さん家族が住んでいた。


あまり騒ぐとヤバそうなだな、と俺は思った。



俺の東京での生活は、独りぼっちで始まった。


入学式までは、まだ一週間もあった。



俺は、三段のカラーボックスや低いテーブル、オシャレ?な座椅子などを買ってきた。


とにかく一応は、部屋としての体裁を整えたかったからだ。


食器やまな板、包丁なども買う。


江古田の駅前で、だいたいのものは揃った。



あとは、銀行で口座を開いたり、公共料金引き落としの手続きをしたり。


しかし、そんなことは1日で終わる。


そして俺は、何もやることがなくなってしまったのだ。



俺の部屋には、貰いものの14インチのテレビがあった。


だからといって、テレビばかり見ていてもつまらない。


江古田の街を歩いてみても、面白くなかった。


いや、決して面白くないワケではなかっが、やはり俺は寂しかったのだ。



俺の部屋には、まだ電話が無かった。


夜10時までは、大家さんが取り次いでくれるというが…。


早く電話を付けたい、と思ったが権利を買うにも8万円近くかかるらしいし、当分は無理だろう。



話し相手がいないことが、こんなに辛いなんて…。


俺は、早めに東京に来たことを後悔していた。